相続放棄と代襲相続

先日亡くなった祖父(A)の遺産相続のことで相談させてください。被相続人である祖父には、子である父(B)と叔母(C)がいましたが、父は、5年前に亡くなりました。父には多額の借金あったため、私(D)は父の相続につき相続放棄をしたのですが、今回、私は祖父の相続人となれるのでしょうか。

相続放棄と代襲相続の関係図

代襲相続

今回のケースでは、被相続人の子であるBが被相続人より前に死亡していたため、Bの子であるDが、代襲相続によりAの遺産を受け取れるかが問題となります。

代襲相続とは

代襲相続とは、被相続人の相続開始時に本来の相続人となるはずであった者が既に亡くなっているなどの一定の場合に、その者の子が相続人となるという制度です。

第八百八十七条 第2項

  • 2  被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき、又は第八百九十一条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その相続権を失ったときは、その者の子がこれを代襲して相続人となる。ただし、被相続人の直系卑属でない者は、この限りでない。

代襲相続の原因となる事由

民法では、代襲相続が発生する原因として、次のような3つの類型を定めています。

相続開始以前の被代襲者の死亡

被相続人の死亡以前に被代襲者が死亡していたことです。同時死亡の場合も代襲原因となります。

被代襲者の相続欠格事由

被代襲者に民法891条の相続欠格事由が認められることです。被相続人を殺害して刑に処せられた場合や、詐欺や強迫により遺言を作成させた場合などがあります。相続開始前後を問いません。

被代襲者が廃除の審判を受けたこと

被代襲者が被相続人の子である場合には、被相続人が廃除の審判を受けたことが代襲原因とされます。

相続放棄は代襲相続の妨げとなるか

今回のケースでは、Aの子であるBが、Aよりも先に死亡しています。したがって、Bの子であるDについては、代襲相続によりAの相続人となることができそうです。しかし、DがBの相続について相続放棄をしたことが何か影響するでしょうか。

相続放棄の効力

相続放棄の効力については、次のような規定があります。

第九百三十九条(相続の放棄の効力)
  • 相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす。

したがって、相続放棄をしたDは、Bの相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなされます。

相続放棄は親子関係までを否定するものではない

しかしながら、上記の規定をよく見ればわかるとおり、相続放棄の申述者は、あくまで当該被相続人の相続(「その相続」)に関してのみ、相続人とならなかったものとみなされるだけです。つまり、相続放棄をした者と、当該相続人との間の親子関係までもが否定されるわけではありません。

そして、民法887条第2項は、代襲者の要件として、被代襲者の子であり、被相続人の直系卑属であること求めてはいますが、「被代襲者の相続人」であることまでは求めていません。

したがって、今回のケースでは、Dが父Bの相続放棄をしていたという事情は、Aの相続に関する代襲相続を妨げる要因とはならないといえます。

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