価額弁償金額の話合いができない | 価額弁償額確認の訴え

父(A)が昨年亡くなりました。父の相続人は、長男の私(X)と、次男である弟(Y)の2名のみです。父は、全ての財産を、長年父と同居し面倒をみてきた私に相続させるとの公正証書遺言を残しました。父の遺産は自宅の不動産と投資用の一棟ビルです。これに対し、弟は、遺言書に不満があるとのことで、私のところへ遺留分減殺請求を行うとの内容証明郵便を送ってきました。もっとも、弟はその後現在まで全く動きがなく、もうすぐ通知から1年近くたちます。私は相続した不動産を取得するかわりに、弟に対し遺留分相当額のお金を支払い、この件を早期に解決したいと考えていますが、どうしたらよいでしょうか。

価額弁償額確認の訴え

価額弁償額の話合いが進まない

遺留分減殺請求を受けた受遺者や受贈者は、遺留分権利者からの遺留分減殺請求に対し、その価額を弁償をすることにより遺贈や贈与の目的物の返還義務を免れることが可能です(参考:遺留分減殺請求と価額弁償)。

この価額弁償ですが、受遺者等が価額弁償をするためには、遺留分権利者に対する価額弁償の意思表示をするだけではなく、現実の履行か履行の提供をすることまで必要になります。つまり、相談例でいえば、XさんはY氏に対し価額弁償を行うと伝えるだけではダメで、価額弁償金を実際に支払うか、価額弁償金の現実の提供をしなければいけません。

ところが、相談例のように、受遺者等が価額弁償をして紛争を解決しようと考えているにも拘わらず、遺留分減殺請求後、遺留分権利者が何もアクションを起こさないことにより当事者間で価額弁償額が定まらないことがあります。この場合、遺留分減殺請求を受けた受遺者等はどのうな対応をすべきでしょうか。

消滅時効による解決は可能?

遺留分権利者が何もアクションを起こさないことによって消滅時効が成立するのであれば、こちらから特にアクションを起こす必要はありません。

しかし、結論からいうと、今回の問題を遺留分減殺請求権の消滅時効によって解決することはできません。

遺留分減殺請求権それ自体は、相続の開始及び減殺すべき贈与または遺贈を知ってから1年の時効により消滅しますが、遺留分減殺請求権行使後に遺留分権利者が取得する不動産の持分権は、時効によって消滅しないとされているためです。

したがって、相談例のケースでも、Xさんは遺留分減殺請求権の時効を待つという方法で問題解決を図ることはできません(永続的にY氏との共有状態が続くということになります。)。

価額弁償額の確認を求める訴え

それでは、受遺者等は遺留分権利者に対しどのような手段をとるべきでしょうか。

価格弁償額の確認を求める訴え

この点については、遺留分減殺請求を受けた受遺者や受贈者の側から、価額弁償をなすべき金額を裁判所に決めてもらえるよう裁判を起こすということが考えられます。

このような裁判が可能であれば、価額弁償が遺留分権利者との話合いにより合意できなくとも、裁判所の判決によって定められた金額を現実に提供することにより、受遺者等は遺贈等の目的物返還を回避することができるようになるからです。

このような裁判を価額弁償額の確認を求める訴えといいます。

最高裁判例

最高裁判所第三小法廷平成21年12月18日判決も、受遺者等が、判決によって弁償すべき額が確定されたときは速やかに弁償金を支払う意思がある旨を表明した場合は、受遺者が価額弁償できる資力を持っていないなどの特段の事情がない限り、価額弁償額の確認を求める訴えを提起することができるとしています。

まとめ

以上,遺留分減殺請求をされたものの、その後遺留分権利者から何らの請求を受け  ない場合において受遺者等がとることができる手段について解説しました。

このように、遺留分権利者から遺留分減殺請求を受けたがその後何らのアクションがない場合であっても、受遺者等から主体的に紛争を解決することが可能になります。

弁護士法人ポート法律事務所では遺留分減殺請求を受けた方からのご相談ご依頼をお受けしております。 本記事をお読みになり,遺留分減殺請求に関する疑問点やご相談がおありの方は,お気軽に当法人の無料法律相談をご利用ください。

(弁護士 吉口直希)

私たちが丁寧にわかりやすくお話します。

法律相談のご予約はこちら

  • お問い合わせフォームへ

法律相談のご予約はこちら

  • お問い合わせフォームへ