相続分とは?法定相続分の具体的計算方法とその修正要素の基本
仮に相続人が1人の場合であれば、その相続財産はすべてその1人の相続人に承継されることになります。しかし、相続人が複数いるような場合には、相続財産の分配の割合が問題となります。このような、相続人間における相続財産の分配の割合のことを相続分といいます。以下では、相続分の算定の概要について解説します。
法定相続分
法定相続分とは
民法は、法定相続人の種類ごとに、それぞれの相続人に適用される相続分を定めています。これを法定相続分といいます。
法定相続分による分配割合
民法の定める法定相続分の割合は次のとおりです。
1 配偶者と子が相続人となる場合
配偶者(妻または夫)が2分の1を相続し、子が残りの2分の1を均等に分けます。但し、平成13年7月1日以前に開始された相続に関しては、非嫡出子(婚姻していない男女の間に生まれた子)の相続分について嫡出子の半分となる可能性があります。
配偶者 | 1200万×1/2=600万 |
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子(1名あたり) | 1200万×1/2×1/2=300万 |
2 配偶者と直系尊属が相続人となる場合
配偶者(妻または夫)が3分の2を相続し、直系尊属が残りの3分の1を均等に分けます。
配偶者 | 1200万×2/3=800万 |
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父母(1名あたり) | 1200万×1/3×1/2=200万 |
3 配偶者と兄弟姉妹が相続人となる場合
配偶者(妻または夫)が4分の3を相続し、兄弟姉妹が残りの4分の1を分け合います。兄弟姉妹間では、原則として均等割りとなりますが、兄弟姉妹が被相続人と父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹(半血の兄弟姉妹)がいる場合は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹(全血の兄弟姉妹)の半分の相続分となります。
配偶者 | 1200万×3/4=900万 |
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全血兄弟(1名あたり) | 1200万×1/4×1/3=100万 |
配偶者 | 1200万×3/4=900万 |
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全血兄弟(1名あたり) | 1200万×1/4×2/3=200万 |
半血兄弟(1名あたり) | 1200万×1/4×1/3=100万 |
法定相続分が修正される場合
法定相続分による原則的な相続割合ですが、例えば次のような一定の場合には、法定相続分が修正されることがあります。
指定相続分による修正
被相続人は、遺言によって法定相続分と異なる相続分の指定をすることができます。これを指定相続分といいます。但し、遺留分の規定に反する相続分を指定した場合には、遺留分を侵害された相続人からの減殺請求の対象となります。
相続分の譲渡
相続分の修正そのものではありませんが、遺産分割協議前であれば、相続人は自分が有している相続分を、他の相続人や相続人以外の第三者に対して譲渡することができます(もっとも、債務については譲渡人も免責されないと解されています。)。相続分の譲渡の結果、法定相続分による相続割合は変化することになります。
相続放棄
ある法定相続人が相続放棄をすると、その人は相続開始当初から相続人ではなかったという取り扱いとなります。その結果、その他の相続人の相続分が増加したり、新たな人物が相続人として相続分を持つことになったりします。